独学で英会話、できるようになるでしょうか。音声、動画、テキストなど、あらゆる形式の英語学習教材がちまたにあふれている昨今、独学で英会話マスターを目指すのは不可能ではないでしょう。
ただ英会話スクールに通っても英会話が上達しないケースもあるのが現実。独学で話せるようになるには、効果的な学習のポイントを知っているかどうかが分かれ道となるかもしれません。
この記事でわかること:
・効果的な自主学習の為のポイントと注意点
・具体的な学習内容の例
(①②③④という4つのポイントを追いながら上記2つの項目を紹介していきます)
効果的な自主学習の為のポイントと注意点:
①リスニングがどうしても不足しがち。日常的にネイティブの英語聞くようにする
②単語や各週練習問題などは片っ端からやろうとせず、何のための英会話がしたいのか熟考し、自分に必要な知識だけにまず集中する
③中学高校基礎単熟語、文法は避けられないので出来るだけ消耗しないようにマスターする
④ネイティブが多用する広義の単語をマスターする(take, make, put, get など)
ポイントをひとつずつ見て行きましょう:
①リスニングをたくさんすること:
我々日本人の英語学習は、圧倒的にインプットに偏重しがち。単語や文法の暗記学習は、英語学習の中でもリスニング力向上への効果が特に高くなく、単語文法の学習だけではスムーズな英会話ができるようには絶対になりません。
会話はまず、相手が何を言っているのか聞き取れなければなりませんし、逆に相手が何を言っているかさえわかれば、そこから筆談やボディーランゲージ(身振り手振り)で意思疎通する事ができます。極端な話、リスニングさえできればあとは気合いで何とかなると言っても過言ではないのです。
リスニングトレーニングの不足は、なんとも残念な状況であると感じます。
それではどんなリスニングをすれば良いのか。リスニングの練習本なのかドラマ鑑賞なのか。という話にもなるのですが、それは個別に異なるため、別記事に託してここではひとまずリスニングの量を増やす大切さを知って頂けると嬉しいです。
記事:Coming soon... どんなリスニング練習をしたら良いのでしょうか?
英会話が目的の場合は特に、「全体の学習項目に対して、6割ほどはリスニングやアウトプットスキル(文章を組み立てる力)の向上に充てる」など意識的にリスニングを多めに取り入れると良いかもしれません。
②自分に関係のある分野を優先する
そして、特に大人の学び直しで英語を勉強している場合、仕事、趣味、家族など身の回りのことについて細かに表現したり、自分の意見を述べられるようになることを意識する事(またそれを通して基礎英語も身につけてしまう事)が、効率的で実用的な英語学習に直結します。
というのも、いざ外国人と話す段になって、挨拶が終わったらきっと話す内容はお仕事のことや、家族や、趣味のことですし、'Ken likes reading books.' 'Lisa took me to a music event.' など、何の脈絡もない自分とも無関係な文章をフレーズ習得のために延々と読んだり聞いたりするのは意外としんどい作業ではないでしょうか。
一方例えばあなたが音響好きでホームシアターなどに凝っているなら、お気に入りのスピーカーやアンプ、設置の仕方やどんな風に聞こえると嬉しいか、どんな事で工夫したり苦戦したかなどについて英語でエッセイを書いてみましょうとなったら、幾分英語学習が楽しく感じられるのはないでしょうか。
推し活をしている方などは、アーティストのどんなところが好きか、どんな作品をどんな風に気に入っているか、日々の嬉しい事やはがゆい事など、英語で表現できるようになることは楽しい事ではないでしょうか。
何のために英会話が出来るようになりたいのか、英会話ができるようになったらどんなことがしたいのかを明確にするのは英語学習で実は大変重要なことです。是非楽しみながらご自身の事を整理してみてくださいね。
英語学習は暗記作業も多く、ややもすると退屈になりがちです。しかし所詮言語はあなたがあなたの世界を便利に楽しく生きるためのもの。あなたの身の回りの世界から固めて行けば、楽しく継続しやすく、効果的で無駄がなく、結果習得が早いのです。
ここで一点ひっかかるのは、エッセイの添削はどうするのかという事かもしれません。ここは日本語の分かるオンライン英語講師を利用しましょう。まずはあなたの世界について丁寧に日本語のエッセイを作り、日本語の熱量を保ったまま英語へ転換して行くのが大切です。講師と一緒に丁寧に作業を行なっていくと良いでしょう。英文が出来たら精読と徹底的な音読です。日本語→英訳→精読→音読までの詳しいプロセスは別記事でご説明予定です。
記事:Coming soon... 楽しく身の回りの事から英語をマスター
③基本単熟語、基本文法はどうしても必要:
憂鬱な現実かもしれませんがご察しのとおり、単語や文法なしには、英会話をできるようになることはできません。どの程度単語文法をやれば良いかと言うと、まず最低限中学の単語・文法をできるだけ網羅的におさらいしましょう。
特に単語については、収録している単語は、レベルが同じであれば本によって大きな差はないケースが多いです。
問題はどうやって1冊暗記するか、ですよね。
単語暗記学習のポイントは、精神的負担を減らすことと、記憶しやすい覚え方を選ぶことであることです。たとえば、
・コツA: とにかく量を減らし精神的負担を減らす
・コツB: 視覚的にコンパクトにして精神的負担を減らす
・コツC: 分類して課題を切り分け精神的負担を減らす
・コツD: 語源を知って記憶の定着を速める
・コツE: 字面ではなくイメージで覚え、記憶の定着を早める
などがあります。
続きは
記事:単語の暗記のコツってありますか?に託します
文法学習のポイントは、
・文法には幹(みき)と枝葉がある事
・なぜ幹から始めることがおすすめか知ること
・幹になる文法はどれか
・幹について、例文を使って理解する
などで、しらみつぶしに学習せずに、重要度の高いものを優先し、どんどん英文に触れて行くという順序がおすすめです。
こちらも文型学習のコツについての
記事:文法が壊滅的。何から始めればいい?に託して行きます
④ネイティブが多用する広義の単語をマスターする(take, make, put, get など)
take, make, put, get, come, go など、英単語は英単語でも、その守備範囲がとても広い単語で、とても重要です。これらの重要性も、日本の英語教育現場では十分に強調されていないのではないかと懸念しています。
これらの動詞はしばしば前置詞を伴って群動詞として多彩な状況を描写します。
下記の様に、動詞と前置詞それぞれのコアイメージを画像などでよく理解し、群動詞がどんな動きを描写するのか掴めると、日常生活の状況説明のかなりの範囲がカバーできるようになります。
・take, get, come, go, turn など(fall, grow, spreadなども)広義のイメージを持つ単語の守備範囲の理解をめざす
・in, out, up, down, off, over, for, into, onto など前置詞の守備範囲の理解をめざす
・take, get, come, go, turnなど(fall, grow, spreadなども)を使った基礎熟語のマスターをめざす
トレーニングの際は下記のような、いわゆる広義の群動詞と、我々がなぜか比較的得意な、広義に対していわば狭義の語彙を同じカテゴリーにくくりながら、情景・場面を表す表現群として体系的に習得して行くと良いでしょう(アウトプットを意識して、情景を浮かべながら習得しましょう)。
Coming soon...記事:情景を浮かべながら英語学習をする事の重要性
・上がる:
→ 広義単語バージョン: go up, come up, move up など
→ 狭義単語バージョン: increase, recover, pick up, rise, raise など
・下がる、小さくなる:
→ 広義単語バージョン: go down, get down, slow down, get smaller, fall など
→ 狭義単語バージョン: decrease, lower, decline, drop, shrink, plummet など
・向かう:
→ 広義単語バージョン: go over, come over, head for など
→ 狭義単語バージョン:
・戻る:
→ 広義単語バージョン: go back, get back など
→ 狭義単語バージョン: return など
・広がる:
→ 広義単語バージョン: spread out, stretch out, grow bigger, get bigger など
→ 狭義単語バージョン: broaden, extend, develop, など
・変わる:
→ 広義単語バージョン: turn, turn into, grow into など
→ 狭義単語バージョン: change, alter など
・良くなる:
→ 広義単語バージョン: get better など
→ 狭義単語バージョン: heel, cure, improve など
・悪くなる:
→ 基礎単語バージョン: get worse など
→ 狭義単語バージョン: deteriorate, degenerate など
・停滞するなど:
→ 基礎単語バージョン: get slow, go slow, come slow など
→ 狭義単語バージョン: stay the same, sluggish, idle など
etc.
話が様々な方向に行きましたが、ポイントは、
・リスニングの経験値を上げること
・身の回りの事を通して英語学習すること
・ネイティブ御用達のシンプルな群動詞の世界を手に入れること
です。
効率的な自主学習のヒントとして役立ててもらえたら嬉しいです。